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法律(司法試験対策等)について綴っていきます

ロー入試の流れ①

1 はじめに

 今回は今年1年のロー入試の流れについて書いていきたいと思います。

 受験校は、同志社ロー、神戸ロー、京大ローの3校としました。
 
 受験校選定の理由
 ・同志社:滑り止め確保のため
 ・神戸・京大:合格率の高い上位ローだから

 結果は以下の通りです。
 ・同志社ロー:合格(2年間学費全免)
 ・神戸ロー:追加合格
 ・京大ロー:合格

 以下、各校の受験の流れ及び対策について述べます。
 なお、以下の情報は2018年の受験当時の経験に基づくものであり、意見については私見にすぎません。来年2019年以降、以下の情報に変更が生じる可能性があることについてご留意ください。

 

2 同志社ロー

 ⑴ 受験時期
  ・8月末、受験日程は1日のみ

 ⑵ 受験科目
  ・憲民刑+刑訴民訴型(この形式で受験)
  ・憲民刑+行政法商法型

 ⑶ 受験時間
  ・刑法:60分
  ・憲法刑訴または憲法行政法:120分
  ・民法民訴または民法商法:120分

 ⑷ 対策
  ア 総論
 同志社ローの特徴は、基本的な問題が多いことです。
 難易度はそこまで低くはありません。憲法の人権分野、民法、刑法は良問が多いイメージです。
 また、試験時間も比較的余裕があります。
 論マス、重問、えんしゅう本、ロープラ等のいずれかに加え、過去問で十分対策可能です。
  イ 各論
  (ア) 憲法
 全2問で構成され、配点は100点です。
 第1問は人権分野からの出題、第2問は統治分野からの出題となっています。

・第1問について
 基本的に13条、14条に関する問題がよく問われています。
 今年度は、13条、14条の問題について立論できれば合格できたものと思われます。出題趣旨を見る限り、人権各則(20条、21条等)で立論できたようです。もっとも、これは加点要素にとどまるものであり、合格不合格の分水嶺となる要素ではないようです。
 ただし、今年度は問題文の誘導が強く、ある意味解きづらい問題ではありました。

 対策としては、13条、14条が問題となる事案の処理手順を押さえておけば足りるのかと思われます(もちろん人権各則の問題も解けるよう訓練しておくにこしたことは言うまでもありません。)。
 重要判例(論文試験で問われうるもの、例えば泉佐野市民会館事件、薬局距離制限事件など)の事案・判旨を押さえておくことは必要でしょう。どういう事案に対し、どういう結論で、どういう論理を組み立てたかをざっくり押さえておけばいいと思います。
 論マス、重問等の短文事例問題をこなせるようになれば問題ないと思います。平成29年までの司法試験の形式である三者間型の問題は出題される可能性は低いと思われますので、三者間型に特化した対策は不要であると考えています(ロー入試一般に通じる話はありますが)。

・第2問について
 統治の出題分野については絞ることが難しく、傾向を見いだすことは困難で、対策を練ることも難しいです。そして、論文で解いたことのない分野からも出題されることもあります。
 しかし、統治分野は、受験生の対策が手薄な分野であり、大体出来はよくないと考えられます。 さらに、非常にマイナーな分野(例えば「天皇のおことばの法的性質」)からの出題もされるため、受験生の誰もが満足のいく答案を書けていないことも考えられます。
 つまり、統治については特に基本的なこと(基礎マスターでいうAランクの知識)さえ書ければ落ちることはないと思われます。とにかく諦めないで書くことが肝要です。
  
  (イ) 民法
 小問形式で構成され、配点は100点です。
 例年、債権分野からの出題が主でした。もっとも、今年度は債権法改正による採点の負担を回避するためか(現行法による解答、改正法による解答が可能であったため)、物権法からの出題となりました。

 基本論点からの出題が主となるので、A、B+の論点を正確におさえることができればよいと思います。

  (ウ) 民訴法
 小問形式であり、配点は50点です。

 民訴法も典型論点からの出題(例えば、二段の推定、一部請求絡みの論点)となります。ただ、重要論点とはいえない問題も出題されやすい科目ではあります。とはいえ、その部分については、周りの受験生も出来ていないと考えれますので、書けなくとも問題がないと思います。
 
  (エ) 刑法
 1問で構成され、配点は100点です。

 総論各論からまんべんなく出題されます。今年度は60分で3人の罪責を検討する必要があるため、論点抽出を素早く行わなければ時間内に書ききることが難しいと思われます。

 今年の問題は、比較的オーソドックスな論点が出題されていましたが、一部論点抽出が難しい問題がありました。

 刑法に関しては、時間内に書き切る訓練を積んでおく必要があるため、過去問を実際に書いてみることがより重要な科目であると思われます。

 

  (オ) 刑訴法 
 小問形式であり、配点は50点です。
 事例問題が出題されます。今年は説明問題も出題されました。

 事例問題に関しては、重要判例からの出題となっています。今年度は、最一小決平15・5・26刑集59巻5号670頁(百選〔10版〕3事件)、最一小判昭53・9・7刑集32巻6 号1672頁(百選〔10版〕90事件)等が題材となりました。
 
 判例の事案処理の方法をしっかりと押さえておく必要があります。

 説明問題については、配点が低く、なにかしら書けば点が入ると思いますので、そこまでしっかり対策しなくともよいでしょう。

 ⑸ 小括
 以上みてきたように、複雑な事案や難解な論点の出題はほぼありません。地道に短文事例問題の処理を日々練習しておくことで足りるでしょう。

 基礎的な重要論点の出題となりますが、大体の人が満足に書けていないのが入試の現状です。おそらく論証集の論証を正確に再現できればかなりの点がつくと思います。

 

ひとまず今回はここまでとします!

年明けには神戸ロー、京大ローについての投稿をしたいと思います。

それではよいお年をお迎えください。