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法律(司法試験対策等)について綴っていきます

司法試験過去問講座

まだまだ暑い日が続きますが、夜は涼しくなってきましたね。

いよいよ秋が来るのでしょうか。

 

さて、今回は司法試験過去問講座について書いてみたいと思います。

司法試験の攻略にあたり、過去問の分析は欠かせません。

しかし、出題趣旨・採点実感はあるものの、答案の形が示されているわけではないので、どのように書けばよいのかわからないという事態が往々にして生じます。ぶんせき本などの再現答案集はありますが、あくまで再現なので模範答案とはいえませんし、形式面・内容面が古く、今の司法試験の傾向にマッチしていないものもあります。

私は、今の司法試験の傾向にマッチし、かつ、全ての年度の解説・答案例が法改正・最新の判例・学説を踏まえたものとなっている過去問講座を探していました。

最終的に、当時、資格スクエアから販売されていた「秒速過去問講座2021(コンプリート)」を選び、それを使って過去問の勉強をしていました。

過去問講座のレビューはあまりブログでも見かけないので、実際使ってみた感想等を、以下書いていきます。参考にしていただければと思います。

*「秒速過去問講座」は、現在、「司法試験過去問講座」という名称で「加藤ゼミナール」から販売をされております。担当講師の加藤喬先生が資格スクエアから独立されたためです。

*なお、以下のレビューでは「秒速過去問講座」という名称を用います。

*講座の詳細については、以下の画像をクリックまたはタップしてご確認ください(加藤ゼミナールのページに遷移します)。

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1 講座を選択した理由

 ロースクール3年次前期の終わり頃に「司法試験の過去問をそろそろ本格的に取り組まなければ」と思っていましたが、一人では出題趣旨等を読み解き分析することはできないと考え、解説講座を受講しようと決めました。司法試験の過去問を解説している講座としては、秒速過去問講座以外に、ほか2つの司法試験過去問講座があったのでどの講座を購入するか非常に悩んでいました。

 最終的に秒速過去問講座を選択したのは、①ガイダンス動画で講座の特徴・講座の使い方を詳しく教えていただけたこと、②総論で各科目の書き方を詳細に解説されていること、③問題文・設問や誘導の読み方まで教えていただけること、④模範答案だけでなく中位答案も掲載されていることで現実的な合格答案を知れること、この4点によります。

2 使い方

⑴ 総論部分

 教材が届いてすぐ、総論の解説動画で各科目の書き方を学びました。司法試験の論文式試験は書き方でも差がつくため、総論の内容は何度も復習し一元化教材に反映させました。特に、憲法行政法、刑訴法は書き方でかなり差がつくため、試験本番までに何度も読み返しました。

⑵ 過去問の解説部分

 加藤先生がご自身のブログに書いてくださっていた過去問のランクづけを参考に、まず、Aランクの問題、次にBランク以下の問題でセレクト45*1に収録されているものを取り組みました。

 司法試験で実際に使われる答案用紙を使って2時間で答案を書いたのち、先生の解説動画を見つつメモをとり、先生が「ここは覚えてください」「ここの書き方は押さえておいてください」等と指示されることをマークしました。動画を見終わった後は、解説をもとに自分の書いた答案を自己添削しました。また、総論で学んだ書き方もできているかも確認しました。

 なお、目次がなかったので、「総論」「プレテスト」「H18」と対応する箇所・年度の最初の頁にインデックスをつけ、検索性を高めていました。

3 講座を選択して良かった点

⑴ 総論講座

 総論では、科目に共通する事項(行政法であれば処分性、原告適格、裁量)の書き方を各科目の過去問を取り組む前に解説していただけました。答案の書き方は、合格するためにかなり重要な要素であるにもかかわらず、あまりしっかりと解説がされることが少ないものです。しかし、この総論講座では、書き方についてかなり充実した解説がされるため、充実した答案を書けるようになりました。総論部分は一元化教材に反映する、コピーするなどして手元においておくとよいと思います。

⑵ 過去問の解説

 法律論にとどまらず、問題文の読み方、事実の捉え方、あてはめのポイントなどの答案作成技術までしっかり解説されていました。

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令和2年度憲法問題文(最新年度の解説・答案例はpdfで配布されます)
問題文の事実を使うための思考過程や設問の読み方まできっちり分析がされています。

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令和2年度商法解説冒頭
法律関係図をどう書くか、前提にすべき考え方は何か、出題趣旨・採点実感で言及されていることをどうメリハリをつけるか、といった点が講義で補足されます。
また、他の年度で出た論点等については、その年度がリファレンスとして言及されます。

 毎年解説動画が更新されているため、法改正への対応はもちろん、最新重要判例(たとえば、刑法では、同時傷害の特例についての平成28年判例に対応)にも対応した、最新で正確な解説が提供されます。秒速過去問講座2021では、コロナ禍の影響で司法試験の実施時期が遅れるなどの理由により、秒速過去問講座2020の解説動画が使われるという例外的措置がとられていましたが、令和2年の試験を踏まえて一部動画が差し代わっているなど、フォロー体制はしっかりしていました。

 テキストの解説部分は、定評のある基本書等をベースに記載されているため、信頼して読むことができます。また、試験で使うべき見解も明示されるため、自説の選択に迷うこともありませんでした。

⑶ 答案例

 模範答案、中位答案ともに1行40字を想定して答案例が書かれているので現実的な答案の分
量を知ることができました。

 模範答案だけでなく中位答案も示してくれるので合格の相場感を掴むことができました。中位答案は、妥協した書き方をしたものや緊急避難的な書き方をしたもの、受験生が本番でやりがちなミスを反映したものというような、現実的な答案になっているからです。なお、中位答案として想定されている順位は、50位〜700位です。

 加藤先生は当てはめを非常に上手く書かれるので、事実の評価のやり方、それぞれの事実を書く順序等々、模範答案の当てはめ部分は本当に参考になりました。なお、当てはめで使う事情については、積極事情や消極事情は<>で括り、積極なら+、消極なら-と答案例に記載していました。

 

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令和2年度商法答案例
実践的な答案の書き方や中位答案がなぜ中位答案なのかの説明がされています。

4 補足

 この講座は過去問をメインに解説したものであって、基礎知識を学ぶものではありませんので、短文事例では主要な論点を抽出でき規範定立・当てはめがある程度できること、主要な条文は引けることなど、基礎がある程度できた段階で、この講座を使うべきだと思います。

 最新判例が出たときなどは、その判例の解説や、答案でどう使うのかを説明した補講が配信されることがあります。

 私が受講した時のテキストは普通の基本書と同じようにくるみ綴じがされているものでしたが、今年度から、伊藤塾のテキストのように、バインダーに綴じられる26穴タイプのものも選択できるようになったとのことです。26穴タイプの方が使う分だけ持ち運べるので利便性が高まったと思います。また、論証集が付属するようになりました。

 下の画像をクリックまたはタップすると加藤ゼミナールのページに遷移しますので、講座の詳細を知りたい方はそちらでご確認ください。サンプル教材・動画も各科目掲載されています。

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秒速過去問講座のレビューは以上です。

さまざまな過去問講座がありますが、サンプル等もよく見て自分にあったものを選んでいただければと思います(個人的には秒速過去問講座を推したいところです笑)。

この記事が講座選択の参考になれば幸いです。

*1:資格スクエアで販売されていた、秒速過去問講座掲載の問題のうち特に重要な45問をセレクトしたもの